注文住宅のトレンドとして、高気密・高断熱の住宅が目立っており、愛知県でもますます注目を集めています。高気密・高断熱は外部の気温の影響を受けにくくし、四季折々の気候変化にも対応できる特性を持っています。このような高気密・高断熱の住宅が持つメリットとデメリットを探求し、愛知県における住宅事情に合わせた選択肢を考えてみましょう。
目次
高気密・高断熱の注文住宅とは?詳しく解説
最近、多くのハウスメーカーや工務店の広告で耳にする「高気密・高断熱」の注文住宅について、イメージは湧くけれども具体的な内容が分からないという方も多いかと思います。ここでは、高気密・高断熱の注文住宅の特徴、メリット・デメリット、注意点をご紹介します。
◇高気密な注文住宅とは
在来の木造住宅は、腕のいい大工さんが丁寧に建てたとしても、壁や天井、床、窓枠などに、隙間が空いているものです。
隙間風を感じるほどではなくても、目に見えないくらいの隙間から空気は出入りします。そのため、冬には外の寒い空気が入りこみ、室内の暖かい空気は外へ出ていきます。夏は逆に外の熱い空気が室内に入り、せっかく冷暖房で冷やした涼しい空気が逃げていってしまいます。この隙間が多ければ多いほど冷暖房が効きにくい家になってしまうのです。
高気密な家は、防湿シート、断熱材、気密テープや工場生産の精度の高い建築部材などを使ってできるだけ隙間をつくらないようにして建てられています。
◇高断熱の注文住宅とは
木造住宅の場合、柱を挟むように内壁と外壁が存在します。このように2重の壁が存在していても、外の空気の温度は窓や壁を通して家の中に伝わってきます。断熱性能が十分ではない家が夏厚く、冬寒いのはこのためです。
そこで、複層ガラス窓を採用したサッシを設置や、外壁と内壁の間により性能の高い断熱材を入れることにより、断熱性能を高め室内への外気温の影響を減らしているのが高断熱な住宅です。
高断熱にする仕組みは「外断熱」と「内断熱」の2種類です。内断熱と、は内壁や床などに断熱材を入れる方法になります。外断熱とは、家の柱と壁の間に断熱材を吹き付けたりして断熱する工法です。つまり、断熱材が、家全体をひと続きで覆う形になります。
高気密・高断熱の注文住宅のメリット・デメリット
「高気密・高断熱」の注文住宅には、優れた特徴がありますが、同時に考慮すべきメリットとデメリットも存在します。ここでは、この住宅の選択に際して把握しておきたいメリットとデメリットについて詳しく解説します。
◇高気密・高断熱の注文住宅のメリット
高気密・高断熱の注文住宅にすることで得られるメリットを5つご紹介します。
光熱費が安くなり省エネになる
高気密・高断熱な注文住宅は、冷暖房で快適な温度にした室内の空気が逃げにくいため、外の暑さや寒さの影響を受けにくくなります。効率よくあたためたり冷やしたりできるということは、省エネで光熱費を抑えることが可能です。家の広さや間取りにもよるが、エアコンや暖房器具の台数が少なくて済みます。
部屋ごとの温度差が小さい
空気の侵入、流出を防ぐことは、室内の温度差を小さくすることができます。たとえば、暖かいリビングから出て脱衣所いくととても寒いといった、急激な温度変化の心配もありません。ヒートショック防止にもなります。
遮音性が高い
気密性が高いということは壁に隙間がないので、外の騒音が聞こえにくく、室内の音も外に漏れづらくなります。
空気の侵入と流出を防ぐことが気密性の持つ役割ですが、音の侵入も防いでくれるため、家の中を静かな状態に保つことができます。
結露が発生しにくい
高気密・高断熱の注文住宅は、外気の温度を断熱できるため、結露が発生しにくくなります。
気密性が高いと湿気がこもるのではと思われがちですが、きちんと換気ができていればむしろ結露は発生しにくくなります。
効果的に換気ができる
2003(平成15)年7月1日に施行された「改正建築基準法」で、原則としてすべての建物に換気設備設置が義務付けられています。
近年建てられる家には、すべての部屋の空気を循環させて換気する「24時間換気システム」が搭載されています。
この換気システムは気密性が高いほど換気の効率が良く、室内の空気の入れ替えが可能です。
空気の入れ替えができているため、居住者の健康に害を与えるシックハウス症候群になるリスクも低くなります。
◇高気密・高断熱の注文住宅のデメリット
続いて高気密・高断熱の注文住宅のデメリットを紹介します。
建築費用が高くなりやすい
高気密・高断熱の注文住宅にするためには断熱材をはじめとした材料を用意する必要があり、一般的な住宅よりも費用がかかります。高性能にすればするほど費用がかかるので注意が必要です。しかし、初期費用は高くても省エネ効果をあるので、将来的に元が取れる可能性もあります。
夏場に熱気がこもる
高気密・高断熱の注文住宅の特徴は空気を逃さずに、室内にとどめてくれることです。夏場の熱気もとどめてしまうため、注意しないと室内が暑くなってしまいます。日差しが入ることで室内が暑くなることの対策は、「窓にすだれをかける」「シェードを利用する」「グリーンカーテンを作る」が有効です。
においがこもる
空気を逃さないことはにおいがこもりやすくなることを意味します。どうしても換気だけでにおいを消すことができないときは、空気清浄機や消臭剤などを利用しましょう。
空気が乾燥しやすい
高気密の注文住宅は、常に換気システムが稼働するため、空気が乾燥しやすくなります。
室内の空気が乾燥しすぎると良くないので、特に冬場には加湿器などで湿度管理が必要です。
開放感に欠ける
高気密・高断熱を確保するために窓を小さくすると、開放感が失われてしまいます。息苦しく感じるほか、太陽光が入りにくいです。対策として、断熱性能の高い窓ガラスやサッシを採用して大きな窓にする方法があります。
高気密高断熱の注文住宅の注意点を解説
高気密高断熱の注文住宅を建てる際に注意点を説明します。
◇換気システムの導入が必要になる
高気密・高断熱の注文住宅は、屋外からの外気や湿度を遮断できるので、室内の空気がこもりやすい特徴があります。施工時に使用する資材の化学物質やハウスダストなどが室内に留まりやすくなるため、シックハウス症候群の発症リスクが高くなってきます。
健康面に配慮して生活するには、換気システムの導入や窓を開けこまめな換気が必要です。そのため、2003年以降は24時間換気システムの設置が義務付けられています。
◇会社選びを重視する
高気密・高断熱の性能は、施工会社の技術力の高さや豊富な経験によって違ってきます。
信用できる会社を選ぶには、ポイントがあります。
信用できる会社を選ぶための3つのポイントは、「施工実績が豊富である」[ZEH(ゼッチ)に対応している」「気密測定を実施している」です。
以上のようなことに注意し信用できる会社に依頼することで、高気密・高断熱の注文住宅を建てより快適な生活を過ごしましょう。
※ZEHは「高断熱に優れ、高効率な設備を導入して、再生可能エネルギーの利用で年間の消費量をゼロになることを目指した住宅」を指します。
高気密・高断熱の注文住宅は、建物内外の温度や空気の流れをコントロールし、快適な居住環境を提供します。
これらの注文住宅のメリットには、光熱費の削減、部屋ごとの温度差の少なさ、優れた遮音性、結露の発生防止、効果的な換気システムの利用が挙げられます。光熱費が削減され、快適な室内温度が維持され、外部の騒音が遮断され、結露の心配が減少し、健康的な居住環境が提供されるため、高気密・高断熱の注文住宅は多くの人にとって魅力的です。
ただし、高気密・高断熱の注文住宅にはデメリットも存在します。建築費用が通常の住宅に比べて高くなること、夏場に熱気がこもりやすいこと、においがこもりやすいこと、空気が乾燥しやすいこと、開放感が欠けることが挙げられます。