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高性能住宅は高い?住宅の費用はランニングコストも考慮しよう
機能性の高い注文住宅を建てたいけれど、建築費用が気になるという方も多いのではないでしょうか。結論から申し上げますと、高性能住宅は一般の住宅よりも割高ですが、長い目で見れば高性能住宅のほうが生涯コストが安くなるのが現状です。こちらでは、愛知県で高性能住宅をご検討中の方のために、その理由を詳しく解説いたします。
◇高性能住宅が高くなってしまう理由
・開発費用がかかる
高性能住宅に採用する独自の技術や工法を研究開発するためには、費用が必要です。研究開発にかかった費用は、注文住宅の建築費用に上乗せされます。
・機能性を上げるために建材や装置などが必要となる
例えば、断熱性を高めるためには断熱材、耐震性を高めるためには免震装置などが必要です。機能性を高めれば高めるほど、建築費用も高くなります。
◇高性能住宅のほうが生涯コストが安くなる理由
住まいには建築費用だけでなく、生活するために光熱費や維持するためにメンテナンス費用がかかります。高性能住宅は、外気の影響を受けづらく冷暖房効率がよいため、光熱費を安く抑えることが可能です。住まいは定期的にメンテナンスも必要ですが、高性能住宅は耐久性に優れ長く住めるので、ランニングコストを考慮すれば高性能住宅のほうが生涯コストは安くなると考えられます。
家族3から4人の家族が30坪の住まいを建てた場合の、建築費用と電気代の違いは次のとおりです。
・一般住宅
建築費:2,100万円
住宅ローンの毎⽉の⽀払い:約6万1000円(⾦利1.2%)
毎月の電気代:2万5,000から3万円
・高性能住宅
建築費:2,300万円
住宅ローンの毎⽉の⽀払い:約6万7,000円(⾦利1.2%)
毎月電気代:1万から1万4,000円
ふたつを比較すると、高性能住宅のほうが毎月1万円ほど安くなり、1年で生じる差額は約12万円です。建築費用の差額は200万円なので、電気代だけを考えた場合、17年くらい住めば高性能住宅のほうが生涯コストが安くなります。
高性能注文住宅で適用の可能性がある補助金について
高性能注文住宅でもエコ住宅に該当し、必要要件を満たせば、補助金を適用されたり、税制面でも優遇措置を受けられたりします。主なエコ住宅の種類と、適用の可能性がある補助金は次のとおりです。
◇エコ住宅の種類
・長期優良住宅
長期にわたり、よい状態を使用できるよう設計された住宅のことです。長期優良住宅の基準を満たし認定を受けると、住宅ローン金利引き下げや税制面で優遇措置が受けられます。
・認定低炭素住宅
環境に配慮した住まいで、一般住宅より二酸化炭素の排出量が少ない住宅です。必要要件を満たし認定を受けると、住宅ローン金利引き下げや税制面で優遇措置が受けられます。
・ZEH(ゼッチ)
エネルギー収支がゼロまたはプラスになる住宅で、一次エネルギー消費量が大幅に削減できます。停電や自然災害時の非常電力をまかなえるのが魅力です。必要要件を満たせば、補助金が適用されます。
◇エコ住宅で申請できる補助金の種類
・こどもエコすまい支援事業
2022年11月末にこどもみらい住宅支援事業が終了し、新たに始まった支援事業です。省エネ性能に優れた新築住宅に対して、100万円の助成金が交付されます。
・ZEH補助金制度
一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)に登録されているZEHプランナー/ビルダーに、ZEH住宅の設計を依頼、またはZEHプランナー/ビルダーからZEH住宅を購入した場合、補助金が受けられます。補助金額は機能性によって異なり、2023年現在、1戸あたり55万円から112万円です。
・給湯省エネ事業
高効率給湯器の普及を目的とした事業で、新築またはリフォームの際にエネファームやハイブリット給湯機、エコキュートなどを設置すると補助金が給付されます。補助金額は、最大で15万円です。
愛知県独自の住宅支援制度を紹介
各自治体では独自の住宅支援制度を実施しています。愛知県で実施されている住宅支援制度は次の4つが注目されています。
◇愛知県住宅用地球温暖化対策設備導入促進費補助金
地球温暖化防止を目的とした住宅支援制度で、個人が住宅用地球温暖化対策設備を購入する際の、費用の一部が補助されます。住宅用地球温暖化対策設備とは、具体的には太陽光発電、HEMS、燃料電池、蓄電池、EV充電器、太陽熱利用、高性能外皮、断熱窓改修で、補助率は1/4以内です。
◇ゼロカーボン・ドライブ推進費補助金
「あいち地球温暖化防止戦略2030(改定版)」における、2030年度の温室効果ガス削減目標達成を目指し、電気自動車、充電設備および太陽光発電設備を一体的に設置する個人に対し補助金が交付されます。
◇あいち認証材CO₂貯蔵量認定制度
住まいの建築に愛知県産の木材を使用することは、森林の整備、水源涵養(かんよう)、土砂災害防止に役立ちます。木の家は二酸化炭素を吸収するため、地球温暖化防止にも効果的です。あいち認証材CO2貯蔵量認定制度では、あいち認証材を使った建物や取り組みにおける二酸化炭素の貯蔵量を証明する認定証を発行し、あいち認証材の普及と利用拡大を目指しています。
◇岡崎市産材住宅建設事業費補助金
岡崎市産材を使って、住居用の戸建てを新築、増築、改築した場合は補助金、建築業者が岡崎市産材の戸建てを斡旋した場合は報償金が交付される制度です。2019年(令和元年)より、内装部分の工事も補助対象となっています。
高性能住宅は一般住宅に比べて建築費用が高いものの、長期的に見れば断熱性や気密性による光熱費の削減で生涯コストは安くなることが多いです。初期の開発費用や高機能建材の使用が建築費を高めますが、ランニングコストは大幅に削減されます。
例えば、愛知県の30坪の家庭では、高性能住宅は一般住宅に比べて電気代が月に約1万円安く、17年間で建築費用の差額を補填できます。加えて、高性能注文住宅にはエコ住宅として補助金や税制上の優遇措置が受けられる可能性があります。愛知県ではさらに、地球温暖化対策や地元産材の利用を促進する独自の住宅支援制度があります。