2024年の能登半島地震で、新耐震基準を満たす住宅も倒壊しました。原因として、経年劣化や複数回の地震によるダメージが考えられます。愛知県では南海トラフ地震対策として、耐震等級2や3の方が推奨されます。耐震等級の高い住宅は保険料の割引や補助金、減税の優遇制度もあり、選ぶ価値があります。
目次
能登地震では新耐震の住宅も倒壊
新耐震とは、1981年以降の耐震基準を指し、震度7クラスの地震に対しても建物が倒壊しないことを求められています。2024年の能登半島地震では、新耐震基準の建物も倒壊しました。原因として考えられるのは、建物の経年劣化と複数回の地震による累積的なダメージです。
◇新耐震とは?
建築物の耐震基準は1950年施行の「建築基準法」で規定され、1981年と2000年に大きな改正が行われました。1981年以降の耐震基準は「新耐震」と呼ばれ、震度7の地震でも建物が倒壊せず、居住者の命が守られることが求められます。
2024年の能登半島地震では予想以上の被害が発生し、国土交通省は「令和6年能登半島地震における建築物構造被害の原因分析を行う委員会」を設立しました。この委員会では新耐震基準の妥当性も技術的に検証します。
◇なぜ新耐震の住宅でも倒壊したのか?
能登半島地震では、新耐震基準を満たしている建物でも倒壊が発生しました。現時点では詳細な原因分析を待つ必要がありますが、考えられる原因として、建物の経年劣化と累積的なダメージが挙げられます。
新耐震基準は施行から約40年が経過しており、当初は基準を満たしていた建物も、時間と共に耐震性能が低下する可能性があります。
また、新耐震基準は一度の震度7の地震に耐えることを前提にしていますが、能登半島では2023年以降、地震が頻発しており、これによる累積的なダメージも倒壊の一因と考えられます。詳細な原因については、有識者による分析が必要です。
愛知で注文住宅を建てるなら耐震等級の区分を知っておこう!
耐震等級1は最低限の耐震性能を示し、大地震でも倒壊しない基準です。耐震等級2はその1.25倍の強度を持ち、大地震時の損傷軽減が期待されます。耐震等級3は1.5倍の強度を持ち、最も高い耐震性を示し、公共施設の基準となっています。
◇耐震等級1
現行の建築基準法では、建物が最低限の耐震性能を満たしていることが求められています。これは、数百年に一度発生するような大地震に対しても倒壊や崩壊しないこと、さらに数十年に一度の地震では損傷を受けないことを条件にしています。
これらの条件に基づいて、構造計算が行われます。
◇耐震等級2
耐震等級2は、耐震等級1の1.25倍の強度を持つことを示しています。つまり、耐震等級1の1.25倍の力がかかっても倒壊や崩壊しない耐震性を持ち、大地震時には損傷が軽減されることが期待できます。
この耐震等級は、長期優良住宅の認定条件であり、災害時に避難場所として指定される公共施設には、耐震等級2以上の強度が求められています。
◇耐震等級3
耐震等級3は、耐震等級1の1.5倍の耐震強度を持つことを示しています。これは住宅性能表示制度で定められた最も高い耐震性のレベルです。災害発生時に救護活動や復興拠点として使用される消防署や警察署などの公共施設は、耐震等級3の基準で建設されています。
南海トラフに備えて愛知県では耐震性能の高い注文住宅を建てよう
愛知県は県内全域が、南海トラフ地震防災対策推進地域に指定されています。愛知県で注文住宅を建てる際は耐震等級2以上が望ましく、壁や柱などを強化する、強度の高い建材を採用するなど工夫が必要です。
◇耐震等級1では心許ない
愛知県は県内全域が南海トラフ地震防災対策推進地域に指定されています。このため、南海トラフ地震が発生すると大きな被害が予想されます。
法律上、新耐震基準(耐震等級1)を満たす注文住宅は建築可能ですが、地震のリスクが高い地域では耐震等級2以上の方が安心です。耐震等級2や3は任意ですが、愛知県のような地震多発地域では、耐震等級1だけでは心許ない場合があります。
耐震等級によって設計や建築費用が異なるため、耐震等級2または3を希望する場合は、事前に担当者にその旨を伝えておく必要があります。
◇現行の耐震基準で押さえておくべきポイント
構造計算にはいくつかの種類があり、採用する方法によって耐震性に違いが出ることがあります。地震に強い住まいを実現するためには、壁倍率などの構造計算をしっかり行うことが重要であり、耐震等級3の建物だからといって完全に安心できるわけではありません。
現行の耐震基準で高い耐震性を確保するためには、壁や床、柱などを強化することが必要です。具体的には、壁に筋交いを入れる、強度の高い建材を使用する、床に構造用合板を張る、柱と梁の接合部に接合金物を取り付けるなどの方法があります。
また、軽量な屋根材を使用して揺れにくくすることや、ベタ基礎を採用してコンクリートを厚くすることも、耐震性を高めるために効果的です。
耐震等級の高い家を建てるメリット
耐震等級の高い家は、地震だけでなく台風や大雨などの他の災害による被害も抑制できるメリットがあります。地震保険が割引され、必要要件を満たせば補助金や減税などの優遇制度を受けることも可能です。
◇災害の被害を抑制できる
耐震構造は、水平方向の揺れに耐えられるよう設計されています。そのため、地震だけでなく、強風や大雨による被害も抑制することができます。耐震性の高い家を選ぶことで、自然災害から家族を守る安全な住まいを実現できます。
◇割引や優遇制度が受けられる
注文住宅を建てる際、一般的に住宅ローンを借り入れますが、地震被害に遭ってもローンの返済義務は変わりません。そのため、地震保険への加入が重要です。
耐震性の高い家は保険料が割引され、具体的には耐震等級1で10%、耐震等級2で30%、耐震等級3で50%の割引が受けられます。また、耐震等級の高い家は補助金や減税などの優遇制度も利用できます。
ただし、これらの優遇制度には必要要件があり、自治体によって異なるため、事前に確認することが重要です。
2024年の能登半島地震では、新耐震基準(1981年以降)を満たす住宅でも倒壊が発生しました。原因としては、建物の経年劣化や、震度7以上の地震が頻発することで生じた累積的なダメージが考えられます。
新耐震基準は、大地震での倒壊防止を目的としていますが、耐震等級1の建物でも長期間の使用や複数回の地震により耐震性能が低下することがあります。
愛知県は南海トラフ地震防災対策推進地域であり、耐震等級1の住宅は法律で建築可能ですが、耐震等級2や3の方が安心です。耐震等級2は耐震等級1の1.25倍、耐震等級3は1.5倍の強度を持ち、公共施設の基準でもあります。
地震保険の割引や補助金、減税の優遇制度も利用できるため、耐震等級の高い家を選ぶことが推奨されます。