愛知で省エネ住宅を建てるには、エネルギー効率向上と住宅会社選びが重要です。性能基準として、一次エネルギー消費量基準と外皮基準があり、適切な会社選びのポイントはZEHビルダー認定や標準仕様のZEH住宅提供、住宅性能評価書の取得の有無等を確認することが重要です。価格と性能のバランスを考慮して、快適で経済的な省エネ住宅を手に入れましょう。
目次
省エネ住宅とはどんな家?
「省エネ住宅」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、その具体的な特徴や魅力についてご存知でしょうか?省エネ住宅は、省エネルギー住宅の略で、その名前からもわかるように、エネルギー効率を向上させ、エネルギーコストを削減するために設計された住宅のことを指します。以下で省エネ住宅の特徴や利点について、詳しく解説します。
◇省エネ住宅とはどんな家?
「省エネ住宅」とは、照明や冷暖房など、家庭で使うエネルギー消費量を抑えるための設備や建築資材を導入した住宅のことです。我が国の家庭のエネルギー消費において、約30%を占めているのが冷暖房です。
省エネ性能の高い住宅とは、この冷暖房のエネルギー消費を抑えることのできる住宅です。夏においては、室外からの熱が室内に侵入しないこと、冬においては、室内の温かい空気が逃げないことで少ない冷暖房エネルギーで快適に過ごすことができるようになります。
そのために重要なのが、夏に熱を侵入させない「日射遮蔽」と冬に熱を逃がさない「断熱」です。省エネルギー住宅は、エネルギー消費を抑えるだけではありません。「断熱」と「日射遮蔽」により、夏は室外からの熱気が入らずに涼しく、小型のエアコンでも十分に効果的で、朝と夕方には風通しが良い環境が提供されます。
一方、冬は部屋の中の暖かい空気が逃げず、室内や部屋間の室温がほぼ均一に保たれ、北側の風呂やトイレも寒くならず、結露も発生しない、といった特徴が実現できます。つまり、「省エネルギー住宅」は「快適な住宅」であると言えます
省エネ住宅の性能基準とは?
省エネ住宅には、「気密」「断熱」「日射遮蔽」の3つの性能があり、これらの性能がそろうことで、家庭で使用するエネルギー量を効率的に削減できるのです。
それぞれ性能の高さを表す数値があり、省エネ住宅の評価基準とされています。
◇ 断熱
「断熱」とは、室内外の熱を伝わりにくくして快適な住み心地を実現します。
断熱性能の高い住宅では、夏は室外の熱が室内に入りにくくなり、快適な室温を保ち冬は暖房で温められた空気を逃さず、室外の冷気から室内を守ります。つまり、夏は涼しく、冬は暖かい状態を維持できるのです。
室内の熱が、壁や窓を通してどのくらい室外に逃げるのか、外皮全体で平均化した数値を「UA値(外皮平均熱貫流率)」で表します。
このUA値が低いほど、省エネ性能が高い住宅ということです。
◇ 日射遮蔽
「日射」とは、太陽からの放射エネルギーです。冷房期に室内へ入ってくる日射量を抑える性能を「日射遮蔽性能」といいます。
日射遮蔽性能が高い住宅では、日射による室内温度の上昇が抑えられ、少ないエネルギー量で冷房を使用できることが可能です。
住宅の日射遮蔽性能は「ηAC(イータ・エー・シー)値」で示され、このηAC値が低いほど、省エネ性能が高くなります。
◇ 気密
室内外の熱の移動を防ぐには、気密性の高さです。住宅における「気密」とは、部材同士の隙間を少なくし、空気の流れを抑えることです。
部材の隙間がどのくらいあるのか数値化したものを「C値」といいます。このC値が低いほど、気密性の高い住宅です。
ただし、気密性ばかり高くなると室内の空気が悪くなるため、適度な換気をしましょう。
住宅の省エネルギー性能の評価については、「一次エネルギー消費量基準」と「外皮基準」の2つの基準を用います。
◇一次エネルギー消費量基準
一次エネルギー消費量は、主に「換気」「冷暖房」「照明」「給湯」の4つが対象となり、エネルギー量の削減率によって評価されます。また、自家発電設備が導入されている太陽光発電など場合は、エネルギー消費量から差し引くことができます。
建築物省エネ法では、注文住宅の一次エネルギー消費量の基準の水準として「BEI」という指標を用います。
BEIは、省エネ設備や建材を用いて実際に建てる建物の「設計一次エネルギー消費量」を、地域や建物条件などにより定められている「基準一次エネルギー消費量」で除した値で評価した値です。省エネ住宅の一次エネルギー消費量基準に適合となる水準は、BEI≦1.0となります。
つまり、新築される建築物においては、設計一次エネルギー消費量が基準一次エネルギー消費量以下であれば省エネ基準に適合しているということになります。
また、ZEH基準では20%以上の削減が求められており、設計一次エネルギー消費量が基準一次エネルギー消費量から20%以上、下回らなければなりません。
◇外皮基準
「外皮」とは、壁、窓、屋根、床や床下など家全体を覆う部分を指します。これらの外皮性能の高さを、日射遮蔽性能を示す「冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)」と断熱性能を示す「外皮平均熱貫流率(UA値)」の2つで評価します。いずれも、値が低いほど省エネルギー性能が高くなります。
日本は気象条件が異なる南北に長い地域なので、全国を8つに区分して省エネ基準を設けています。例えば、東京23区や大阪市の場合「6地域」に分類されます。まずは家を建てる地域がどこの区分に分類されているか、確認しておきましょう。
省エネ住宅を建てるときの会社選びのポイント
省エネ住宅を建てるときの会社選びを進める上では、省エネ住宅に対する会社の姿勢と、知識・経験などを中心に検討していくとよいでしょう。比較する上での6つのポイントをご紹介します。
◇「ZEHビルダー」「ZEHプランナー」として認定されているか
ZEHビルダーとは、ZEH住宅を建てることを経済産業省に認定されたハウスメーカーやビルダー、工務店などを指し国からZEH住宅の普及に積極的な取り組みが求められます。また、ZEH住宅に関わる補助金の申請ができるのはZEHビルダー(プランナー)だけなので、省エネ住宅に積極的に取り組む会社は、ZEHビルダーへの登録・認定が不可欠です。
◇ZEHが標準仕様の商品があるか
ハウスメーカーやビルダーなど、独自商品をもつ会社では、ZEHを標準仕様とする商品があるかどうかを、パンフレットやホームページなどで確認してみましょう。こうした商品があるということは、ZEHに関する設計のノウハウ、それを建てるための技術力があるということです。合わせて、ZEHや省エネに関する具体的な説明や取組姿勢などが書かれていれば参考すると良いでしょう。
◇住宅性能評価書を取得できるか
住宅性能評価書とは、法律に定められた一定の基準により「省エネ性」「耐震性」など住宅の性能を評価したものです。評価は国から委託された第三者機関の検査によって行われるため、信頼性・客観性の高い評価となります。この住宅性能評価書の取得に積極的な会社は、省エネ性を含めた「住宅の性能」を重視している会社ということです。また、厳しい検査に対応できる技術力もあります。
◇ZEH・省エネ住宅の補助金や優遇措置に詳しいか
ZEH住宅は様々な補助金を受けることができますが、制度が毎年変わる上に、スケジュールや申請方法がとても複雑です。こうした制度をしっかり理解し、施主の要望に合わせた提案ができる会社は、省エネ住宅についての知識・経験が豊富な会社ということです。
◇事業規模・経営の安定性
会社の事業規模や経営の安定性も考慮しましょう。
家は建てた後にもメンテナンスや定期点検など長いお付き合いになりますから、会社としての継続性は重要なポイントです。
例えば、会社の財務基盤が弱い会社では、不景気による倒産したりする可能性があります。
また完工棟数が多い会社は、新しい技術開発などにも取り組みやすく、建材等の仕入れでもコストダウンが図れることもあります。
◇省エネ性能と価格とのバランス
最後に価格とのバランスです。一般的に大手ハウスメーカーはTVCMなど広告展示場の出展・販売活動に多額の費用をかけているため、住宅の価格が高い傾向があります。もちろんアフターサービス品質面など、大手ゆえの安心感もありますが、住宅性能と価格は必ずしも一致しませんので、イメージだけでなく性能等級などの客観的なデータで比較することが重要です。また会社の規模・ブランド、住宅性能、安心感など、何を重視するのかを検討することも大切です。そして、予算やご自身の考え方に合った会社を選びましょう。
省エネ住宅は、エネルギー効率を向上させ、エネルギーコストを削減するために設計された住宅で、快適な住環境を提供します。主な特徴として、断熱性、日射遮蔽性、気密性の向上が挙げられます。これにより、夏は室内の涼しさを保ち、冬は暖かさを維持し、エネルギー消費を最小限に抑えます。
省エネ住宅の性能基準は、一次エネルギー消費量基準と外皮基準によって評価されます。一次エネルギー消費量は、冷暖房、照明、給湯などのエネルギー消費を削減し、BEI値が低いほど高性能とされます。
省エネ住宅を建てる際の会社選びには、以下のポイントが重要です。まず、ZEHビルダーまたはZEHプランナーとして認定されているかを確認し、省エネ住宅の設計・施工に精通しているかをチェックしましょう。次に、会社の製品にZEHが標準仕様として含まれているかを確認し、具体的な取組姿勢や説明があるかを調べます。
住宅性能評価書の取得に積極的であり、ZEH・省エネ住宅の補助金や優遇措置に詳しいかも重要です。また、会社の事業規模と経営の安定性を確認し、長期的な信頼性を考慮しましょう。最後に、価格と性能のバランスを検討し、予算や要望に合った会社を選ぶことがポイントです。