地震に強い家を建てることは、長期的な安心を実現するための重要なステップです。低い高さやシンプルな形態、そして耐震構造など、地震に対する効果的な対策を施した家は、地震や自然災害によるリスクを軽減し、安定した住環境を提供します。これらの特徴を備えた家は、将来の安全を考える上で、確かな選択肢となるでしょう。
目次
地震に強い家がもっている特徴とは?
耐震性に優れている住宅はいくつかの特徴を持っています。例えば、住宅の高さが低い、形や構造がシンプル、耐震性に優れた構造をしているなどが挙げられるでしょう。こちらでは、地震に強い家が持っている特徴について、詳しくご紹介いたします。
◇高さが低い
高さが低い住居は、耐震性が高いと言われています。その理由は、地震や強風などの自然災害に対する安定性が高いからです。
一階しかない平屋の建物は、高層の建物に比べて地面に近く、重心が低いため、地震や強風の揺れに対して安定性が高いと言えます。高層建築物では、上層階ほど揺れが大きくなる傾向があります。これは、地面から離れた階の揺れが振り子のように強くなるためです。そのため、地震や強風がなくても、トラックの振動やわずかな風でも、高層階では揺れを感じることがあります。
また、建物の上部に重量があればあるほど揺れやすくなりますが、平屋の場合、2階部分が存在しないため、揺れが小さく建物へのダメージも軽減されます。もちろん、2階建てや3階建ての住居でも、適切な耐震設計が施されていれば十分な耐震性を持つことができます。しかし、一般的には、平屋の方が構造的に揺れに強いと言えます。
◇シンプルな形や構造
シンプルな形や構造をしている住宅は、耐震性に優れていると言われています。その理由として、正方形やそれに近いシンプルな形および構造は、地震発生時にかかる負荷が均等に分散されやすくなるためです。つまり、逆を言うと、正方形からかけ離れた複雑な形や構造では、地震発生時にかかる負荷が分類されにくいため、倒壊のリスクが高くなるおそれがあると言えます。
◇耐震構造
耐震構造は、建物が地震に耐えるようにするための構造のことです。主に柱や梁などの建物の骨組みを強化し、地震の揺れに対して建物を守ります。現在、施行されている建築基準法に基づいて建てられた住宅であれば、こちらの構造が施されていると言えます。
具体的には、柱と柱の間に筋交いを施したり、耐力壁を配置することで、建物の強度を高めます。これにより、地震が発生しても建物が倒壊しにくくなります。
建物には「主体構造」と「非構造部材」があります。主体構造は柱や梁などで建物を支える部分で、耐震構造の強化が行われます。一方、壁などの非構造部材は地震によって損傷する可能性がありますが、主体構造に問題がなければ建物の強さに大きな影響はありません。
壁式構造では、壁が主体構造となります。この構造では、壁自体が建物を支えるため、主体構造が損傷しにくく、地震による揺れも少ない特徴があります。
地震に強い家か判断するポイントは?
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耐震性に優れている住宅かどうかを判断するポイントとして、耐震等級、構造や工法が挙げられます。こちらでは、耐震性に優れている住宅かどうかを判断する際に用いられる耐震等級および構造や工法について、詳しくご紹介いたします。
◇耐震等級
耐震等級とは、住宅の耐震性能を示す指標のひとつのことを指します。耐震等級は耐震等級1~3に分類されており、数字が大きければ大きいほど、耐震性に優れていると言えるでしょう。
◇構造・工法
地震に強い住宅の構造・工法には、免震構造、制震構造、そして木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法)があります。
免震構造は、建物の土台と地盤の間に免震装置を設置することで、地震の揺れを建物に伝えにくくする構造です。免震装置にはアイソレータと呼ばれる土台を支える装置と、揺れを吸収するゴムやダンパーが使われます。地震が発生しても、建物に揺れが伝わりにくくなり、建物内部のダメージや倒壊を防ぎます。
制震構造は、建物の内部に制震材を組み込むことで地震の揺れを抑える構造です。制震材は重りやダンパーなどで、地震の揺れを熱エネルギーに転換して吸収します。建物が地震の影響を受けても、制震構造によって揺れが軽減され、倒壊を防ぐことができます。
さらに、木造枠組壁工法は、木材の柱と梁、筋交い、土台などの軸組を組み合わせて建物を構築する方法です。この工法では、床・壁・屋根が一体となったモノコック構造を持つため、外圧を一点で受け止めず面で受け止めます。そのため、地震が発生しても建物が傾きにくく、倒壊しにくい特徴があります。
これらの構造・工法は、地震による被害を最小限に抑え、住宅の安全性を高めるために重要です。
耐震・免震・制震のメリットやデメリット!
住宅の地震対策として、耐震構造、免震構造、制震構造が挙げられます。こちらでは、愛知県で耐震性に優れた注文住宅をご検討中の方に向けて、耐震、免震、制震のメリットやデメリットについて、詳しくご紹介いたします。
◇耐震のメリットとデメリット
まず、耐震のメリットとして、免震や制震と比較すると、希望通りの設計や間取りを実現できる自由度が高い点が挙げられます。また、免震や制震とは異なり、耐震は特殊な工事が不要なため、ハウスメーカーに依頼した場合であっても、スムーズに工事が進められます。
一方、耐震は上の階に行くほど、揺れを感じやすいとされています。そのため、多建ての住宅の場合、家具の転倒などによる事故が起こりやすいと言えるでしょう。実際、地震発生時に家具の下敷きとなり、命を落とされた方も少なくありません。また、地震による影響を繰り返し受け続けていると、住宅が倒壊してしまうおそれがある点は耐震の大きなデメリットのひとつであると言えるでしょう。
◇免震のメリットとデメリット
免震のメリットとして、地震の揺れによる影響が住宅内部に伝わりづらい点が挙げられます。そのため、家具の転倒などによる事故が起こりにくく、大きな地震が発生した場合であっても、ご自身やご家族の安全を確保しやすいでしょう。また、地震の揺れによる影響が住宅内部に伝わりづらいため、住宅内部の損傷を最小限に防げます。
免震は横方向の地震に対する効果が非常に高いとされています。しかし、縦方向の地震に対する効果は限定的です。また、耐震や制震と比較すると、歴史が浅く、施工が行える業者も限られているため、業者を探す手間も必要となる可能性があります。
◇制震のメリットとデメリット
制震は耐震よりも耐震性に優れており、免震とは異なり、台風などの強風による揺れにも効果的であるとされています。また、繰り返し与えられる揺れにも強く、メンテナンスが容易である点は制震の大きなメリットのひとつです。これに加え、免震よりもコストを抑えられるため、制震は非常にメリットの多い構造であると言えるでしょう。
制震のデメリットとして、設置する位置により効果が得られにくいことが挙げられます。また、地盤の影響を受けやすいため、地盤が軟弱な土地に建てられた住宅の場合もまた十分な効果が得られない可能性が非常に高いです。そのため、制震をご検討中であれば、それらを事前に確認されるとよいでしょう。
地震に強い家の特徴は、低い高さ、シンプルな形態、そして耐震構造にあります。低い高さの住宅は、地震や強風による影響を受けにくく、安定性が高いとされています。一階建ての平屋は、地面に近く重心が低いため、揺れに対して安定性があります。
また、シンプルな形や構造は、地震時の負荷を均等に分散しやすく、耐震性を向上させます。これに対し、複雑な形態や構造は、負荷の分散が難しく、倒壊リスクが高まります。さらに、耐震構造は柱や梁の強化を通じて、地震に対する建物の安定性を確保します。
具体的には、柱と柱の間に筋交いを設置したり、耐力壁を配置することで、揺れに強い構造を実現します。免震や制震も効果的な地震対策として挙げられますが、設置位置や地盤の状態によっては効果が変わることがあります。 免震は地震の揺れを建物に伝えにくくし、制震は耐震性を高めつつコストを抑えることができますが、適切な位置や地盤の条件を考慮する必要があります。これらの特徴や地震対策は、家の安全性を高めるために重要です。