木造住宅には主に木造軸組工法とツーバイフォー工法の2つの工法があります。木造軸組工法は日本の伝統的な工法で、ツーバイフォー工法はアメリカで誕生し、近年日本でも利用されています。この他にも優れた工法が誕生しており、これらの工法の特徴と違いを理解することが重要です。愛知県で理想の注文住宅を建てる際の参考にしてください。
目次
木造住宅の2大工法を紹介!
自由度の高い注文住宅で理想の住まいを実現させるためには、建築に関する知識も必要です。こちらでは、愛知県で注文住宅をご検討中の方のために、木造住宅の2大工法である、木造軸組工法とツーバイフォー工法について解説いたします。
◇木造軸組工法
日本の伝統的な工法で在来工法ともいわれ、古くから採用されている住宅工法です。建築方法は、コンクリートの基礎に柱を建て、その柱に梁を水平に渡し、骨組みを形成します。次に屋根を取り付け、壁の工事を行っていきます。
壁より屋根を先に設置してしまう木造軸組工法は、資材が雨に濡れることを防げる、日本の気候に適した工法です。現在は、耐震性や耐久性を高めるために、筋違いで補強したり、構造用合板や接合用の金具を用いたりしています。
◇ツーバイフォー工法
19世紀初めにアメリカのシカゴで誕生した住宅工法です。明治時代には、ツーバイフォー工法の原型となる工法が既に伝わってきていましたが、日本でツーバイフォー工法が認可されたのは1974年からです。
柱と梁で点を支えるように空間を構成する木造軸組工法とは対照的に、ツーバイフォー工法は面で支えます。具体的には、2×4インチの木材で枠組を作り、その枠組みに構造用面材取り付けダイアフラムを作成します。このダイアフラムを床、天井、壁の部分に使って6面体の家を建設します。
ツーバイフォー工法には、全6種類の規格材があります。
ツーバイフォー(2×4)材
寸法: 2インチ(約5.08センチ)×4インチ(約10.16センチ)
用途: 壁、天井、床、外壁などの軽い構造に一般的に使用されます。一般住宅の内壁や隔壁によく使われます。
ツーバイシックス(2×6)材
寸法: 2インチ(約5.08センチ)×6インチ(約15.24センチ)
用途: ツーバイフォーよりも太いため、より丈夫で耐荷重性が高く、構造の補強や大きな開口部のサポートに使用されます。
ツーバイエイト(2×8)材
寸法: 2インチ(約5.08センチ)×8インチ(約20.32センチ)
用途: さらに太く、強度が必要な場所で使用されます。屋根の構造、大きな梁、床のジョイストなどに適しています。
ツーバイテン(2×10)材
寸法: 2インチ(約5.08センチ)×10インチ(約25.4センチ)
用途: さらに大きな強度が求められる場面に使用されます。大規模な建築物や特に重い荷重を支えるために適しています。
ツーバイトゥエルブ(2×12)材
寸法: 2インチ(約5.08センチ)×12インチ(約30.48センチ)
用途: 最も太く、最も強度が高い木材の一つです。特に大きな梁や柱、重要な構造部分に使用されます。
フォーバイフォー(4×4)材
寸法: 4インチ(約10.16センチ)×4インチ(約10.16センチ)
用途: 四角いセクションを持つ太い木材で、主に柱や支柱として使用されます。耐久性があり、荷重を支えるのに適しています。
これらの規格材は、建築プロジェクトの要件に合わせて選択され、建物の安定性と強度を確保するために重要です。建築物の種類や荷重、設計に応じて適切な規格材を選ぶことが大切です。
2大工法を比較!耐震性・防火性・自由度
2大工法で木造住宅を建築した場合、住まいの機能性にどのような違いが生じるか見てみましょう。
◇2大工法の住宅の耐震性および防火性を比較
2大工法で比較した耐震性、防火性の違いは、次のとおりです。
耐震性
どちらの工法で木造住宅を建てても、現行の耐震基準を満たせますが、耐震性を比較すると、6面体を構成するツーバイフォー工法のほうが耐震性に優れています。耐震性が劣る木造軸組工法でも、工夫次第で耐震性を高めることが可能です。方法としては、建築する前に地盤調査を行う、耐力壁をバランスよく配置する、金物の部材を使って柱を固定する、制振システムを設置するなどがあります。
防火性
ツーバイフォー工法は、面が多い構造で炎が広がるのを防げるため、防火性に優れています。木造軸組工法は、柱と柱が離れていて炎が広がりやすく、防火性もツーバイフォー工法と比較するとやや劣ります。ただし、耐火性に優れた外壁材や建材を採用すれば、防火性も高められるため、防火地域や準防火地域に木造住宅を建築する際は素材選びが大事です。
◇2大工法の住宅の自由度を比較
柱や梁を点でつなげる木造軸組工法は、間取りや空間のサイズを自由自在に変更できるため、設計の自由度が高い工法です。一方、ツーバイフォー工法は、木材が規格化され面のサイズも決まっていて、面が建物を支える役割を担っているため、間取りやサイズを変更したり、壁に大きな窓を作ったりすることは簡単にはできません。ただし、あくまでも自由度が低いというだけで、ツーバイフォー工法でもリフォームや増改築は可能です。
その他の工法を紹介!SE工法とは
住宅工法は、2大工法以外にも複数あり、住宅メーカーによって対応している工法は異なります。工法を理解しておくと、住宅メーカー選びにも役立つため、その他の工法に関する知識も深めておきましょう。こちらでは、よく知られているラーメン工法、SE工法、プレミアムモノコック工法をご紹介いたします。
◇ラーメン工法
ラーメンはドイツ語で骨組みの意味で、その名のとおり骨組みで荷重を支える工法です。鉄骨軸組工法のことで、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の建物に採用されています。鋼鉄を素材にした柱や梁は工場で製造し、現場では組み立てのみ行うため、工期短縮と品質の安定が図れるのがメリットです。鋼鉄の骨組みで耐久性と耐震性に優れているため、柱や壁に制限されない広い空間が作れます。建築コストが高くなりやすく、通気性、防音性、断熱性が劣るため対策が必要です。
◇SE工法
前項のラーメン工法と木造住宅を融合させたもので、SE工法を採用することで従来の木造住宅の欠点を補えます。SE工法の具体的なメリットは、次のふたつです。
安全性を確保できる
木造建築は、鉄骨造や鉄筋コンクリート造と比較すると耐久性と耐震性が劣ります。SE工法で建てた木造住宅は、構造躯体が頑強で安全性が高いため災害時も安心です。
自由度を高められる
木造住宅は耐震性が不十分なため、耐震性を高めるために壁や柱を設置する必要がありました。SE工法は構造計算により、壁と柱の数を最小限に抑えられるため、設計の自由度を高められます。
◇プレミアムモノコック工法(三井ホーム)
2×6材を使う枠組壁工法と三井ホームが開発したダブルシールドパネル、BSウォール、マットスラブなどを融合させた新しい工法です。プレミアムモノコック工法で建築した建物は耐震性が高く、三井ホームが行った実験では60回におよぶ震度7の揺れにも耐え抜きました。
木造住宅の主要な2つの工法である木造軸組工法とツーバイフォー工法について解説しました。木造軸組工法は伝統的で、柱と梁を組み合わせて建築し、壁を後から作ります。ツーバイフォー工法はアメリカ発祥で、2×4インチの木材で枠組みを作り、6面体の構造を形成します。それぞれの工法の特徴や規格材について紹介しました。
また、これらの工法を比較すると、ツーバイフォー工法は耐震性に優れ、防火性も高い一方、木造軸組工法は自由度が高く、設計の自由があります。他にもラーメン工法やSE工法、プレミアムモノコック工法なども紹介し、それぞれの特徴やメリットを説明しました。
これらの情報を考慮して、木造住宅の建築において工法を選択する際の参考になるでしょう。各工法には異なる特長があり、建物の用途や要件に応じて適切な工法を選ぶことが重要です。