シューズクロークは、通常、玄関隣に設けられる大きな収納スペースで、靴を収納する主な用途ですが、外出時に必要なアイテムをまとめて整理収納できるのが特長です。生活スタイルや玄関スペースに合わせて検討し、間取りも家庭の特性に応じて計画する必要があります。シューズクロークの効果的な設計や愛知県の施工事例を通じて、シューズクロークのポイントを探ってみましょう。
目次
シューズクロークとは?間取りのポイント
シューズクロークは、玄関スペースを整理し、家の中を清潔に保つのに役立つ重要な要素です。ここでは、シューズクロークの役割や設計上のポイントについて詳しく説明します。
◇シューズクロークとは
シューズクロークは、通常、玄関隣に設けられる大きな収納スペースです。その名前からも分かるように、主な用途は靴を収納することですが、その他にもコート、帽子、傘、長靴、ブーツなど、外出時に必要なアイテムを整理して収納できるのが特徴です。
玄関は日常の出入り口であり、物が散らかりがちな場所ですが、シューズクロークを導入することで、スペースを効果的に使い、すっきりと片付けることができます。これにより、快適で使い勝手の良い玄関スペースを確保できるため、注文住宅建築の際にも検討すべきアイテムです。
◇シューズクロークの種類
シューズクロークには、人が入ることができるウォークインタイプと、中を通って別の部屋に行けるウォークスルータイプがあります。
ウォークインタイプのシューズクロークは、1つの出入り口を持ち、内部には3面の壁に棚を設置できる特徴があります。これにより、収納力を最大限に活用でき、多くの靴や小物を整理して収納できます。また、狭い玄関スペースでも1畳ほどのスペースがあれば設置可能で、プライバシーを保つために出入り口に扉を取り付けることができます。しかし、通り抜けができないため、出入り口の位置に工夫が必要です。
ウォークスルータイプのシューズクロークは、2つの出入り口が設置されており、通り抜けが可能です。玄関からシューズクロークを通って室内に移動できるため、生活動線がスムーズです。また、キッチンやパントリーと連携しやすく、食料を収納する場所としても利用できます。ただし、収納力はウォークインタイプに比べてやや劣り、通り抜けスペースが必要なため、壁面の収納スペースが制約されることがあります。
どちらのタイプのシューズクロークを選ぶかは、家庭の生活スタイルや玄関スペースの広さに応じて決定されます。収納力を重視する場合はウォークインタイプが適していますが、生活動線のスムーズさが優先される場合にはウォークスルータイプが選ばれることがあります。
◇シューズクロークの間取り
シューズクロークの間取りは、玄関の大きさや形、収納するものの多さや種類、家族の人数や生活スタイルなどによって異なります。
一般的には、玄関の一部をシューズクロークにする方法と、玄関の横にシューズクロークの部屋を作る方法の二つがあります。玄関の一部をシューズクロークにする方法は、玄関のスペースを減らすことになりますが、玄関からシューズクロークに入る距離が短くなります。
玄関の横にシューズクロークの部屋を作る方法は、玄関のスペースを確保できますが、玄関からシューズクロークに入る距離が長くなります。
暮らしやすい家づくりには導線が重要
画像出典先:Gate air house (株式会社阿部住宅)
暮らしやすい家づくりを考える上で導線は非常に重要な要素です。導線とは、家の中で人々が日常生活を送る際に移動する経路やルートを指し、部屋同士や各機能エリアをつなぐ役割を果たします。ここでは、導線の重要性や、導線の種類について解説します。
◇暮らしやすい家づくりで導線が大切な理由
導線は、家の中での生活が円滑かつ快適に行えるかどうかに大きく影響を与える要素です。以下で、導線の重要性とその理由を詳しく解説します。
家事の効率向上
動線がスムーズに確保されている場合、掃除、料理、洗濯などの日常的な家事が効率的に行えます。例えば、キッチンから食材を取り出し、調理し、食卓に運ぶ過程がスムーズに行われると、料理の時間が短縮されます。また、キッチンから洗濯機までの移動距離が短ければ、料理をしながら洗濯を回すことも容易になります。
移動のしやすさ
家の中での移動がスムーズで効率的な場合、快適な生活が実現します。例えば、寝室からトイレへの移動が容易であれば、夜中のトイレの利用もストレスなく行えます。また、階段やエレベーターのアクセスが良好であれば、上下の階への移動も楽になります。
家族や来客への配慮
家の間取りにおいて、家族の人数や年齢層を考慮して動線を設計することで、家族全員が快適に生活できる環境を作り出せます。また、来客時にも他の家族が気にせずに過ごせるような配置を考えることが重要です。来客時にゲストルームやリビングへのアクセスが簡単であれば、ホストとゲスト双方がリラックスした雰囲気で過ごせます。
安全性と快適さ
動線が適切に設計されている場合、安全性も向上します。急な階段や狭い通路がないことで、転倒やけがのリスクが減少します。また、間取りが使い勝手の良いものであれば、居住者の快適さが向上し、ストレスの軽減に寄与します。
◇導線の種類
導線には、以下の4つの主要な種類があります。
家事動線
家事に関連する動線で、料理、洗濯、掃除、子育てなどに関係します。キッチン、洗濯機、リビングなどが含まれ、これを効率的に配置することで家事の効率が向上します。
生活動線
生活動線は、日常生活での動線を指し、寝室、トイレ、キッチン、リビング、玄関などが該当します。家族が同時に行動する時間帯で、互いの行動を妨げないように設計する必要があります。
来客動線
来客が家に入ってから、リビングや客室へ案内されるまでの動線を指します。来客の快適さを考慮し、プライバシーを守りつつスムーズなアクセスを提供する必要があります。
衛生動線
衛生動線は、手洗いやトイレなどの衛生施設へのアクセスに関連し、特に新型コロナウイルスの流行後、健康と衛生に対する関心が高まりました。衛生施設へのアクセスが簡単で、移動距離が短いことが重要です。
これらの導線は、家の間取りを計画する際に慎重に考慮すべきであり、家族構成やライフスタイルに合わせて適切に設計することが、快適な居住環境を実現するために不可欠です。設計段階でこれらの要素を考慮することで、日常生活がスムーズで快適になり、ストレスが軽減されるでしょう。
◇導線と収納の関係
導線と収納は、家の中での生活を効率的にし、快適にするために密接に関連しています。収納場所が導線に合わせて配置されることで、物の出し入れが楽になり、日常の動線がスムーズになります。
シューズクロークは、特に玄関エリアにおいて導線と収納の良い例です。例えば、小さな子供がいる家庭では、次のようなシナリオが考えられます。
1.玄関から帰宅時、ベビーカー等をたたんで収納する。
2.靴を脱いで玄関に置く。
3.子供のコートを脱いで掛ける。
4.その他の物品(帽子、手袋など)も整理する。
これらの作業が通常は異なる場所で行われていると、効率が悪く、物の散らかりやすい状態になります。しかし、シューズクロークを設置することで、これらの作業が一か所で完結します。
このように、導線と収納を結びつけた設計は、家庭内の作業や移動が円滑に進み、ストレスを軽減するのに役立ちます。シューズクロークのような収納スペースは、家族の生活スタイルに合わせて計画することで、日常の導線がスムーズになり、家事の効率が向上します。
愛知の注文住宅施工事例よりシューズクロークの例を紹介
愛知県での注文住宅施工事例から、優れたシューズクロークの設計と実例を紹介します。以下の施工事例では、シューズクロークを機能的かつ美しく組み込むためのデザインやアイデアが数多く取り入れられており、その一部をご紹介します。
◇大容量のシューズクローク
この施工事例では、シューズクロークをメインにした玄関空間のリフォームを行っています。玄関に入るとすぐに目につくのは、大きなシューズクロークです。 靴以外にも、傘や帽子、バッグなどの小物類をたっぷりと収納できるスペースがあります。
家族の靴はもちろん、お客様の靴も余裕で入れられます。シューズクロークの反対側には、手洗いコーナーが設置されており、外出から戻ったら、すぐに手を洗えるようになっています。清潔で衛生的な習慣が身につきやすくなります。
◇回遊できるシューズクロークのあるおしゃれな住まい
玄関ホールからSICにつながるシューズクロークは、靴だけでなく、コートや傘などのアウター類も収納できる便利な空間です。
シューズクロークからコートハンガーにアクセスできるので、外出時や帰宅時にスムーズに着替えができます。
◇アーチ型がおしゃれなシューズクローク
アンティークなウエスタンドアをくぐると、広々としたシューズクロークが目に入ります。
靴はもちろん、スポーツ用品や子供の自転車などもすっきりと収まります。回遊性の高い設計で出入りも楽々です。
◇シューズ以外も収納できる広々シューズクローク
この施工事例では、白のガルバリウムと鎧張のレッドシダーを組み合わせた外観が特徴的です。敷地面積は30坪で、車やバイクを収納できるガレージも設けられています。玄関にはシューズクロークが設置されており、また、壁と天井にはOSB合板が使用されています。さらに、玄関ポーチの壁一面には贅沢にレッドシダーが使用されており、靴だけでなく、テントやBBQコンロなどのアウトドアグッズも収納できるように工夫されています。
シューズクロークを玄関に設置することで、快適で整理された玄関空間が実現されており、アウトドア愛好者にとってはアウトドアグッズの収納にも適しています。
シューズクロークは、家の玄関スペースを整理し、日常生活を快適にするための重要な要素です。主な役割は靴やアウター類の収納であり、スムーズな物の出し入れや整理整頓を可能にします。
シューズクロークにはウォークインタイプとウォークスルータイプの2つの種類があり、それぞれ特徴が異なります。ウォークインタイプは、1つの出入り口を持ち、内部に多くの収納スペースを備えています。ウォークスルータイプは2つの出入り口を持ち、生活動線をスムーズにするメリットがあります。
シューズクロークの間取りには、家のスペースや家族のライフスタイルに合わせた設計が必要です。導線と収納は家の中で密接に関連し、収納が導線に合わせて配置されることで、家事や移動が効率的に行え、快適な生活が実現します。
愛知県の注文住宅施工事例からは、シューズクロークを機能的かつ美しくデザインした実例が紹介されており、大容量の収納や回遊性の高いデザインなどが特徴です。シューズクロークは、家の中での導線設計と収納計画の一部として、快適な生活環境の実現に寄与します。